気仙沼市で初めて、リアスオーケストラ主催のコンサートを行いました。
大船渡市育ちの私には、県をまたぐ気仙沼市は近くて遠い町でした。
リアスオーケストラに、気仙沼市民が参加するようになり、彼女のおすすめの魚屋さん、かまぼこ屋さん、お寿司やさん、喫茶店など案内していただくうちに、段々気仙沼市が好きになってきました。 気仙沼市は遠洋漁業の町、マグロを求め海外に目が向いているから、気質が違うよ、と言われ、逆によその人を受け入れる度量もある、と言う話も聞くにつれ、リアスオーケストラの事をもっと知っていただきたい、という思いが募ってきました。
そして、この地にピッタリの演奏家は誰だろうと考え、スケールの大きな、小柄なヴァイオリニスト劉薇さんが思い浮かびました。 劉薇さんは、文化大革命の最中、お父様の強い意志で音楽家を目指し、中国の音大卒業後に東京芸大に学び、外国人で初めての博士号を取得しました。 腎臓病を患い、ご自身の雑穀料理で10年間数値をおさえながら、人工透析をするも苦しく、夫婦間生体腎移植を受け、みるみる元気になり、コロナ禍では積極的に八ヶ岳の自然の中での演奏を発信してきました。 その人生と、強くてしなやかな身体から発散されるみずみずしい感性の演奏を、是非聴いていただきたいと思いました。
当日は、チャイコフスキーから始まり、彼女の生涯をかけた馬思聡の作品から山歌、皆んなが聴きたいと願っている望郷のバラードなど、アンコールを含め1時間以上のプログラムを、舞台に出ずっぱりでの熱演、私たちは裏で、いつひっこむかと待っていたのですが、お話しも交え、その体力には、私も思わずスピーチしてしまいました。
ピアノ伴奏は、桑原花子 美しい音色での共演ソロのノクターンも、胸を打つ演奏でした。
劉薇さんの最後の言葉が 「皆さん、日本は、世界一の人口透析大国と言われています。でも、私のように夫という元他人からの腎臓の提供で、またこんな元気な人生を送る事ができます。もしも、皆さんの大事な方が悩んでいましたら、私の事を思い出してください。」 会場では、目を閉じたり、涙ぐんでいた方もいらっしゃいました。 最後は、名残を惜しむような、ニューシネマパラダイスで、とても感動的なステージでした。
今回は本当に、気仙沼市民に力を貸していただき、立派な集客が出来ました。皆さんからの感動のお言葉をいただき、企画して良かったと、しみじみ思う記念すべきコンサートになりました。
リアスオーケストラ会長 桑原裕子
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