2023年8月20日(日)
ファイナルコンサート開場2時間前、ここ陸前高田市民会館「奇跡の一本松ホール」に足を一歩踏み入れると、ヴァイオリンやチェロの音が、一斉に響いていました。階段やロビーで、演奏前にグループに分かれて合わせている音です。違う曲があちこちから聞こえ、もはや騒音としか思えないのですが、私にとっては、心響く光景でした。
自分達の出番に向け、真剣に楽しげに合奏する姿は、3年前にはじめて楽器を持った時とは違う自信がうかがえました。
三年目にして、もしかしたら、無謀とも言える計画だったのかもしれません。
「リアスアンサンブルフェスティバル」は、一人の日本を代表するチェロの指導者、松波恵子先生のお宅での一言から始まりました。
弟子達が集まった親睦会で、みなさん近況の報告があり、リアスオーケストラの事をあいり先生が話しました。まだ2年目ですが、皆さんの熱意と、発表会の様子、また、被災地だというのも、もちろんあったのでしょうが「手伝いに行ってあげようか。海も見られるし」という師匠の一言に、弟子達が「私たちも行けるよ」と、手を挙げてくれました。
あいり先生は、その中では一番の若手でしたので「どうしたら良いでしょうか」と、帰り道に私に電話をして来ました。
先生や仲間が、そんな気持ちを持ってくださった事自体が宝だと思うので、直ぐに計画を練りましょう、と答えました。
資金繰りは必ず何とかなるから、こんな小さな地域の素人の合奏に、関心を持って下さった事自体が貴重だと感じました。
私の長年の友人夫妻が、松波先生と親しいのも幸いしました。
それから、丹羽先生の奮闘が始まりました。
どんな風に企画して、コンサートまで持ち込むか、、
それが、会員の皆さんの為に反映出来なかったら、やる意味は半減してしまいます。
それが「リアスアンサンブルフェスティバル」になりました。
一般にも宣伝して受講者を集め、リアスの会員にも参加を呼びかけ、オーケストラを3つの小グループに分けて、練習を開始しました。
今年は殊更暑い日が続いて、集まっての練習も大変だったかと思います。
皆さん、仕事や介護、育児、それぞれ事情は違いますが、熱心に集まり練習を重ねました。
松波先生、堀先生は、NHK交響楽団やサイトウキネンオーケストラ、水戸室内楽団などで演奏されており、世界の一流の指揮者の元での経験が沢山おありです。
その先生方からの指導は、練習を重ねて来た会員なら理解でき、後々のアンサンブルに必ずや、役に立つことでしょう。
当日、リアスオーケストラは、一曲目にオープニング演奏があり、コンサート受付に立てない、、
人数が足らない、、
と私と丹羽先生と堀夫人が、頭を抱えていたら、「私たちがやります」と、演奏家の四人
「え、あなたがたは今日はスターだから、ダメですよ、そんなの聞いたことないし」と私。
「あら、手づくり感があって、良いんじゃなぁい」の松波先生の一言
前代未聞の受付嬢、しかも、リアスオーケストラのTシャツ姿で。
皆さんの成果発表の後の、チェロアンサンブルの演奏の素晴らしかったこと!
ポッパーのレクイエムは、この会場だからなおの事、心に沁みました。
会場に足を運んでさえくだされば、必ずや感動をお届けできる!という自負を持ち、今までコンサートを企画してきました。
今回も、沢山の感激のお言葉をいただき、主催者冥利な演奏会になりました。
何から何まで、頑張って、人生でNo.3に入る忙しさだったというあいり先生
出来る事は手伝います!と申し出て下さった会員の方々
毎回の目に見えない雑用をこなしてくださる事務局の方々
お弁当や、毎日の差し入れ、 先生方へのお土産
この心遣いと、マナーが、リアスオーケストラ応援団に繋がっていくというのを、今回も感じました。
リアスオーケストラ 会長
桑原裕子
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